前職では週1日だけ在宅勤務が導入されていましたが、
働くうえでの価値観や人間関係から、働き続けるのは限界でした。
前職での具体的な出来事については、こちらの記事にまとめています。
「出社か在宅か」という以前に、
そもそも“一緒に働ける相手かどうか”という部分で、
どうしても折り合いがつかなかったのだと思います。
そこで私は、最初からリモート勤務が前提となっている会社への転職を選びました。
この記事では、その会社で実際に感じたことや気づいたことを、体験ベースで書いてみます。
在宅勤務を推進する会社に転職して感じたこと
「リモート勤務OK」ではなく、「リモート勤務が当たり前」という会社に転職したとき、
まず感じたのは「これはもう、最初から“そういう働き方”で設計されている組織なんだな」ということでした。
前職では週に1回だけ在宅勤務が許可されているだけで、
それ以外は出社して当然、会議も紙のやりとりもオフィス中心でした。
一方で今の会社では、出社するかどうかはあくまで個人判断。
何も言われなければ、ずっと在宅で働くことになります。
在宅前提の環境は、最初から不安が少なかった
入社初日はオリエンテーションのために出社しました。
私を含めて複数名の入社だったため、最初の説明やセットアップだけは対面でまとめて行う方式でした。
ただ、それ以降は出社の必要はなく、すぐに在宅勤務に切り替わりました。
翌日からは自宅でPCを立ち上げ、SlackやWeb会議を通じて、自然に業務に入っていく流れでした。
「何かトラブルがあったらどうしよう」「いま出社した方がいいのかな」
といった迷いがまったくなかったのは、この環境が“最初からそういうもの”として設計されていたからだと思います。
手続きも会話も、すべてオンライン設計だった
入社手続きや各種の社内申請は、あらかじめ用意されたオンラインフォームで完結しました。
確認すべきルールや制度はNotionにまとまっていて、紙の資料や口頭説明に頼る場面はありませんでした。
何か困ったことがあっても、「Slackで聞いてください」と案内されていて、
チャット上のやりとりが、ほぼすべての社内コミュニケーションの起点になっていました。
「ちょっといいですか」と声をかけに行く代わりに、
Slackのチャンネルで質問すれば誰かが拾ってくれる。
そんな空気が、ごく自然に共有されていたのが印象的でした。
在宅勤務が当たり前だった背景
この会社では、在宅勤務が単なる「制度」ではなく、
実際の働き方として日常にしっかり根付いていました。
誰かが特別にリモート勤務を選んでいるという感じではなく、
それぞれが自分の業務や事情に合わせて、ごく自然に在宅を選んでいた印象です。
そうした空気が生まれた背景には、組織の性質や働き方の実情が関係していたように思います。
社外にいる人が多く、人の出入りも多かった
そもそも、全社員がオフィスに集まって仕事をする──
という前提がこの会社にはありませんでした。
社外のプロジェクト先に常駐している人も多く、
ふだん自社オフィスに戻ってくる機会がほとんどない人もいました。
また、毎月のように退職者が出ているような状態で、
人の入れ替わりが多いのも、この会社の特徴でした。
特定の場所に集まる、決まった顔ぶれで仕事をする──
そうした環境ではなかったからこそ、
リモートでも滞りなく進められるようにという意識が、組織のなかに自然と育っていったのだと思います。
誰かに頼れないから、自走できる仕組みが必要だった
人が多く入れ替わる職場では、「隣に座って教える」ようなやり方が通用しません。
タイミングが合わなければ、直接やりとりをする機会も持てないまま、
仕事を進めなければならない場面もあります。
そうなると、自然と「自分で確認できる」「自分で判断できる」仕組みが必要になります。
Notionにまとめられた社内ルールや業務マニュアル、
Slackでの過去ログ検索や、よくある質問をまとめたスレッドなど──
そうした仕組みは、意識的に整えられていたというよりも、
必要に迫られて育っていったような印象でした。
「誰かに聞く」が難しいからこそ、
「誰かに聞かなくても進められる」が組織に定着していたのだと思います。
制度があっても、文化は崩れていくことがある
転職当初は「これはうまく回っている組織だな」と感じていたのですが、
時間が経つにつれて、少しずつその感覚に変化が出てきました。
制度や仕組みそのものは維持されていたものの、
それを支える「文化」や「運用」が追いつかなくなっていたのです。
特に印象に残っているのが、人数の急増とオフィス統合のタイミングでした。
人が増え、オフィスが統合されたタイミングで変化
数年の間に社員数が一気に増え、
それまで複数あったオフィス拠点が、1つに統合されることになりました。
それ自体は合理的な判断に見えましたが、
このあたりから、社内の情報整理やコミュニケーションにほころびが見えはじめたように感じます。
誰がどこに所属しているのか、
何を担当しているのかが見えづらくなり、
ふとしたやりとりで「そこ、もう異動してるよ」
「いや、あの人は退職したはず」などといった声が出るようになりました。
制度があっても、それを維持するための時間と労力が
いつの間にか足りなくなっていたのだと思います。
情報が更新されず、みんな迷子になった
とくに感じたのは、Notionの更新が追いついていないことでした。
以前は整っていたページが中途半端なまま放置されていたり、
新しく導入された制度について、検索しても情報が見つからないことが増えてきました。
「前は見つかったはずなんだけど……」
「これはまだ旧制度の説明だよね?」
そんなやりとりが、Slackでもよく流れるようになっていきました。
Slackでのやりとりが多い環境だからこそ、
私はなるべくオープンなチャンネルで質問するようにしていました。
誰かが拾ってくれれば、そのやりとり自体が他のメンバーの参考にもなるし、
検索すれば後からも辿れるからです。
もちろん、人に聞けば教えてもらえることもあります。
でも、リモート勤務が基本の環境では、「誰に聞けばいいか」がそもそも分からないこともあります。
気づけば、自分自身もその迷子のひとりになっていました。
仕組みそのものはあっても、それを回す“人の手”がなくなったとき、
制度は意外とあっけなく形だけのものになってしまうのだと、あらためて感じました。
「コミュニケーション不足」と週1出社のリバウンド
在宅勤務勤務が浸透していた頃、社内では「コミュニケーションが不足しているのではないか」という声が聞かれるようになりました。
その対策として「週1出社」が提案されましたが、実際にそれが機能していたかというと、少し疑問が残ります。
自分の体験を振り返っても、出社すれば何かが解決するという実感は、正直なところありませんでした。
週1出社が提案されたが、意味は感じられなかった
在宅勤務が当たり前になっていた頃、「コミュニケーションが足りていないのでは」といった声が出始めました。
その流れで「週に1回は出社を」といった方針が打ち出されましたが、私はあまり意味を感じませんでした。
出社しても何かが変わるわけではないし、そもそも業務はリモートで滞りなく進んでいたからです。
出社しても、誰と話すかは分からなかった
オフィスは全員が座れる広さではなく、フリーアドレス制でした。
同じ日に出社しても、誰がどこにいるのかが分からない。
出社していた人がいたことは知っていますが、チームの誰かと会えるかどうかは運しだいという状況でした。
出社の意味が見えず、自分は行かなくなった
何度か出社してみたものの、やはり在宅勤務との違いを見いだせず、私は次第に出社をやめました。
上司から「週1出社だからね」と言われることもありましたが、特に評価に影響があるわけでもなく、黙ってスルーしていました。
勤務場所をカレンダーに「出社」や「在宅」と記入するルールもありましたが、それを守っていない人も多く、
誰がどこで働いているのか分からないこともしばしばありました。
結局、自分のまわりでは「週1出社」の話題すら出なくなり、制度としてどうなったのかも分からないままです。
まとめ|制度よりも、それを支える人がいるか
転職先は在宅勤務を前提にした体制が整っており、環境としてはとても快適でした。
仕組みとしても、入社直後から戸惑うことは少なく、スムーズに働き始めることができました。
けれども、制度や仕組みが整っているからといって、それだけで組織がうまく回るわけではないことも、時間が経つにつれて実感するようになりました。
在宅環境としては、十分に快適だった
働く場所を問わずに業務ができる環境、情報共有の仕組み、基本的な社内手続きのオンライン化。
これらが揃っていたおかげで、在宅勤務だからといって困ることはほとんどありませんでした。
むしろ、「これだけ整っているなら、出社する理由はない」と思えるほどでした。
でも、仕組みは放っておくと崩れていった
人が増え、オフィスが統合され、体制が変わる中で、それまで機能していた仕組みが少しずつ形骸化していきました。
社内ドキュメントの更新が止まり、手続きの案内が見つからないまま放置されるようなことも増えていきました。
制度があっても、それを保守・改善する人がいなければ、いずれうまく機能しなくなるという現実を感じました。
やっぱり最後は「人」なんだと感じた
どれだけ仕組みが整っていても、そこに関わる人たちの意識や姿勢によって、組織の居心地は大きく変わります。
転職直後は「この会社なら大丈夫かも」と感じていましたが、時間が経つにつれて少しずつ違和感も出てきました。
働き方の制度よりも、それを支える人が信頼できるかどうか。
それが、長く安心して働けるかどうかの分かれ道なのかもしれません。
この職場で直面した問題については、こちらの記事で。