わたしが『週1在宅』から『フルリモート転職』を決意した理由
前回の記事では、社内でのパワハラとその対応をめぐって、私が最終的にフルリモート勤務へと切り替え、会社から離れることを決意するまでの経緯をお話ししました。
今回はその続きを──フルリモートを軸に転職を選んだ私が、その先で直面した現実と、いまの働き方に至るまでの話を、綴ってみたいと思います。
チームで働くことに憧れていた、あの頃の私
実を言うと私は、もともと「チームで働くこと」が好きなタイプではありませんでした。
というより、そういう働き方を「知らなかった」のかもしれません。
これまで勤めてきた会社は、いずれも個人への依存度が高く、「自分の案件は自分でやるのが当たり前」という空気がありました。
人数が少なく、誰かに頼る余裕もなくて、気づけば複数のプロジェクトをひとりで回す日々。
誰かにヘルプを出しても「それは本質的ではないから」とあしらわれることもあり、やがて私は何か問題が起きても「自分でなんとかするしかない」と思うようになっていきました。
その会社も、最終的には私の意思で離れることになりましたが、当時は「こういう職場ばかりなんだろうな」と半ば諦めに似た感覚を持っていました。
だからこそ、あの出来事を機に転職活動を始めたとき、私ははじめて「チームで働ける会社」を条件に入れていたのだと思います。
この職場では、やり直せる気がした
転職先を選ぶにあたって、最も重視していたのは「働き方の自由度」と「チームでの連携」でした。
そして実際に出会ったのが、フルリモートが前提で、SlackやNotionなどのツールを駆使して業務を進める、ある程度規模のある会社でした。
前職と比べれば、環境も制度も格段に整っていて、「今度こそ、きちんと分担しながら仕事ができるかもしれない」と期待していたのを覚えています。
組織も比較的若く、私と同世代のメンバーが多かったこともあり、「ここならフラットな関係でやっていけそう」と感じたのも理由の一つでした。
“チームで仕事をする”という、これまで諦めかけていた働き方を、もう一度目指してみたい。
あの頃の私は、そんな思いを胸に、新しい環境へと足を踏み入れました。
「チーム」のはずなのに、なぜか孤独だった
けれど、理想と現実はやはり違いました。
最初こそ丁寧なオンボーディングがあり、業務の引き継ぎもスムーズに行われましたが、徐々に違和感が積もっていったのです。
チームのはずなのに、仕事の多くが属人化していて、誰かの担当が曖昧なまま進んでいく。
誰かがつまずいていても「気づいた人がやる」ような空気があり、それぞれがギリギリの状態で回していました。
改善の提案をしても、「それはこのフェーズでは重要じゃない」と一蹴されることもありました。
指摘された部分をそのまま放置し、また別の誰かが困る──そんな“後回し”の連鎖が、どこか慢性的に存在していたのです。
私は気づけばまた、「自分がなんとかするしかない」という姿勢に戻っていました。
個人に依存する文化の中で、せっかくのチームも、気がつけば“名ばかり”のものになっていたのです。
「チームワーク」と「責任の所在」が噛み合わない
特に困難だったのは、責任の所在があいまいなプロジェクトに関わったときでした。
誰が方針を決めるのか。誰が調整役なのか。誰が最終判断をするのか。
そういった基本的な役割分担が曖昧なまま、話し合いだけが繰り返されていくのです。
上司やリーダーに相談しても、はっきりと指示が返ってくることは稀で、「様子を見よう」とか「方向性は合っていると思う」といった抽象的な反応ばかり。
結局のところ、“やれる人がやるしかない”という空気が、チームの中にしみついていました。
私は再び、「抱え込む側」のポジションに戻っていったのです。
関係性を壊さないための「沈黙」があふれていた
もうひとつ、大きな壁だったのは、「指摘や批判が起きにくい空気」でした。
特に若手メンバーに対して、間違いを正すことが難しい場面が何度かありました。
「それは違うよ」と言ってしまえば“パワハラ”と受け取られるかもしれない。
その恐れから、あえて何も言わない。そんな場面がいくつもあったのです。
実際に、上の立場にいる人が、誤った方針をとっている若手の意見に対し、何も確認せずそのまま受け入れてしまうということもありました。
“若い人の成長のため”という言葉の裏で、実際には現場の混乱が放置されていたのです。
「チームで働く」とは、単に年齢や立場に関係なく発言できることではなく、互いに指摘し合える信頼があるかどうか。
私は、その本質をあらためて痛感していました。
それでも、私は「フルリモートで働く今」に満足している
こうして転職先でもまた、私は限界を感じ、最終的に退職することを決めました。
けれど、不思議と絶望感はありませんでした。
むしろ、自分の中にある「おかしい」「これは違う」という感覚に、素直に従えたことが、静かな安堵を生んでいたように思います。
いまはフリーランスとして、フルリモートで複数の案件に関わっています。
自分の裁量で働くことで、信頼できる人とだけ、誠実な関係を築きながら進めていく──
そんなスタイルが、今の私には合っているようです。
「在宅勤務」や「フルリモート」は、単なる制度ではなく、
自分の感覚に正直でいるための“土台”のようなもの。
そう思えるようになったのは、あの経験を経たからこそかもしれません。